ZUIUN便りvol.04|家具からはじまる家づくり | 家づくり応援WEBメディア りくつな家

りくつな家 家づくり応援 WEBメディア りくつな家 家づくり応援 WEBメディア

ZUIUN便りvol.04|家具からはじまる家づくり

毎日がもっと豊かになる【zuiun便り】
日々の暮らしがより一層豊かになる住宅と家具を提案する石川県野々市市の建築会社『zuiun』によるコラム。何気ない毎日が特別になる〈豊かな〉住空間をつくるためのアイデアやルールをご紹介します。


生活動線とのバランスが大事。

「あなたのお家に家具はありますか?」と問いかけたなら、ほとんどの方が「YES」と答えるでしょう。それくらい「家」と「家具」は、切っても切り離せない関係にあります。

家の間取りに対して、どんな配置で、どんな大きさのものを選ぶかによって生活動線は変わってきますし、なにを選ぶかによって生活スタイルにも影響する場合があります。

みなさんの中には、レンジ台の幅がわずか数センチ大きかっただけで、食器棚と同じ並びに置けなかった。部屋の広さに対してソファが大きく、テーブルとの距離が近くなりすぎた。そんな経験をした方もいるのではないでしょうか?大は小を兼ねるということは、家具に関していえばあてはまりません。生活動線の無駄を省くためにも、適正な寸法の家具を選ぶことはとても大事なことなのです。

家具のデザインや素材によっても、部屋の雰囲気は大きく変わります。

モダンな雰囲気が好みであれば、レザー、ガラス、ステンレスなどの素材で、クールさや格好良さを演出したり、シンプルなデザインのものですっきり見せたりするのが良いでしょう。また、ナチュラルな雰囲気が好きな方は、木の肌触りが残るオイル仕上げや丸みを帯びた優しいデザインといった、温かみを感じる木製の家具を取り入れると良いでしょう。同じ時間を過ごすにしても、自分好みの雰囲気に包まれるほど贅沢な気分が味わえるはずです。

さらに「座り心地」や「寝心地」など、手に触れたり体に触れたりすることで心地良さを感じる家具は、そのまま家の住み心地にも関わってきます。どんなにソファからの景色が良いリビングだったとしても、座り心地が良くないと本当の快適さを得ることはできません。

そうした快適な生活を送る上で重要な役割を担う「家具」ですが、ZUIUNでは職人さんが手作業でひとつひとつ心を込めたり、新しいことに挑戦しながら伝統の技法を受け継いだりと、ものづくりにこだわるメーカーの家具を大切にしています。それは私たちの家づくりに対するこだわりと共通する部分が多いから。家にも家具にも職人魂が宿っていれば、より愛着が湧くと考えているのです。

家は道具?

そしてまた、家は家具と同様に「道具」なのではないかとも感じています。そう思うことで、住宅を設計している際に考えがまとまる気がするのです。

使うことを目的としている道具は、デザインやディテールを身体的なスケールのもとに作られているケースが多いですが、私たちもまた同様に「住み心地」を考えて、細部まで丁寧に作ることを意識しています。ただ使いやすいだけでもダメですし、デザインが良いだけでもダメ。相対的にバランスを見ながら検討を進めなければいけません。

もちろんオーダーされた方が使いやすく、かつ気に入るデザインであることが大事ですが、やっぱり大切なのは「普段使いの快適さ」だと思います。

えてして私たちの業界は、デザインについて話題性や新奇なものをもてはやす傾向があるのは否めません。私自身も店舗のような住宅があっても面白いと思っていた時期もありました。しかし流行を追いかけ、消費されるような商業的デザインを求めても、結果的に住む人にとっては生活にしっくりと馴染んでいかないように思えます。デザインされ尽くした緊張感のある空間は、第三者のケアがあってはじめて居心地と結びつくもの。あくまでも住まいとは「住む人の普段をデザインすること」なのです。

住む人の「普段」を検討するとき、家もまた普段使いの道具として考えることが、家づくりの大切なプロセスだと感じます。

近年は耐震性や断熱性をしきりに数値化し、良い住まいのバロメーターのようにする風潮があります。しかし、そこから見えてくるのはほんの一面でしかなく、住み心地に直結するとは思えません。むしろ光の射し込み方や風の通り方のような、感覚的な部分が大切な要素なのではないでしょうか。

みなさんはソファを購入するとき、座り心地を確認するかと思います。それは感覚的な判断をするための行為です。家もソファと同じだとは言いませんが、使い心地を求めるのであれば「使うときのシチュエーション」を考慮する必要があります。

家を「機能をまとった箱」としてではなく「普段使いの道具」として捉えた方が、より大切に使っていけるのではないでしょうか?


執筆者プロフィール

『zuiun』代表取締役 正理 善寛 
2004年、建築設計事務所として創業。2006年、野々市市にてインテリアショップOPEN。2016年、金沢市にてカフェ・雑貨・アパレルを中心としたライフスタイルショップOPEN。「衣・食・住を通じて豊かな暮らし」の提案を行っている。
HP:zuiun公式ホームページ
facebook:@zuiun
Instagram:zuiun_official

新着記事NEWS

もっと見る