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ZUIUN便りVol.03|窓について考える

毎日がもっと豊かになる【zuiun便り】
日々の暮らしがより一層豊かになる住宅と家具を提案する石川県野々市市の建築会社『zuiun』によるコラム。何気ない毎日が特別になる〈豊かな〉住空間をつくるためのアイデアやルールをご紹介します。


住まいと窓の関係性

皆さんは、一日に一度でも自分の家の窓から、外の景色を見ていますか?

間取りを考えるプロセスの中で、窓の配置を考えることはとても大切なことで、決して気を抜くことのできない重要なポイントです。窓を制する者は、間取りを制するんです。

…多分。

ということで、今回は窓について真剣に考えてみます。

窓の大きな役割は、建物の開口…つまり、建物の内と外を繋ぐ穴ということになりますが、その穴をどこに開けるかによって、建物の内部の住環境に強い影響があるので、無造作に開ければ良いというわけではありません。

具体的には、開ける場所が悪いと光が入らない窓になってしまったり、プライバシーが守られずにずっとカーテンが閉まったままの、不快感たっぷりな窓をつくってしまうことになります。

特に、日本の住宅地事情を思えば、隣や、後ろの敷地に建つ家が障害になって、日差しやプライバシーの確保が難しいうえに、そんなことおかまいなしに、自分たちの理想の家を求めて、洋風や和風、さらにはモダンにデザインされた「なんとか風」なんて家を、競うようにして建ててしまうから、窓の問題は一向に解決してきませんでした。

「一体、どうすれば…」

そんなことがわかってしまえば、とっくにやっているはずですし、残念ながらこれまでの建築史を見ても、まったく正しい答えなんて見つかるはずがないんです。

だからといって初めからあきらめるのもどうかと思うので、現時点での最良の答えを求めて、いろんな本を読みあさってみると、窓に対しての考え方が、近年、徐々に変わってきているのが分かってくるから面白い。そして興味深い。

これまでの建築では、窓の役割の中で、外観を構成するための意匠性が多くのウェイトを占めていたように思います。

例えば住宅展示場を観察すると、建物の正面が南向きか北向かに関係なく、大きな窓が整然と規則正しく配置されているのを見ればわかりやすいと思います。

しかし、モデルハウスをそのまま縮小しただけのプランは、僕の経験上、成功した例がありません。なぜなら、建てる場所である敷地の秩序に反して、モデルハウスのイメージのみでことを進める訳ですから、建てた後に、光の入らない、前面道路から家の中が丸見えの住宅をつくってしまう訳です。

ここで再度、窓(開口)はどこに開けるかによって建物内部の住環境に大きな影響力があることを考えて欲しいのです。

日本の厳しい住宅事情を、窓の配置から解決を図ろうと模索した結果、室内から見た窓の配置、つまり室内の住環境を優先的に考えて、敷地の状況を考えず、窓を配置することが近年では主流になっていると思います。

例えば、建物の正面に窓がない建物は、最近の住宅では当たり前のように見ることができます。しかも、内部は決して閉鎖的ではなく、むしろ開放的です。

窓は、カーテンを開けて開放してこそ、本来の機能を果たします。

そのとき、皆さんは、窓から何が見えていて欲しいですか?

執筆者プロフィール

『zuiun』代表取締役 正理 善寛 
2004年、建築設計事務所として創業。2006年、野々市市にてインテリアショップOPEN。2016年、金沢市にてカフェ・雑貨・アパレルを中心としたライフスタイルショップOPEN。「衣・食・住を通じて豊かな暮らし」の提案を行っている。
HP:zuiun公式ホームページ
facebook:@zuiun
Instagram:zuiun_official

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